うつ病寛解期の残遺状態に対する
統合的復職支援プログラムの試み

−多様な病態に対応するために−
 田代 哲男    伊藤 貴子    吉田 周平    田代 佳織
    抄録:我々は、うつ病寛解期にあるが身体・精神の機能低下が残遺している12人に、
   高照度光治療、運動療法、認知療法、行動療法、社会生活リズム療法などから構成
   される統合的復職支援プログラム(IRSP)を毎日6.5時間実施した。病態の多様性に対
   処するために、30種類程度のサブプログラムが用意された。各プログラムは、うつ病期
   の間に低下した能力の回復、セルフモニタリング、概日リズムの形成・確立、苦手な場
   面の対処行動の形成を目標としている。さらに、その個別性に合わせてサブプログラム
   の重点の置かれ方が調整された。IRSPの実施期間は、1.5〜6ヵ月(平均3.6ヵ月)であっ
   た。なお、服薬治療はそのまま続けられた。IRSP終了後の観察期間は4〜38ヵ月(平均
   21.1ヵ月)であった。IRSP参加者は、高い復職・就業率(100%)と低い再燃・再発率(0%)
   が見られた。